東京都中野区で評判の動物病院【もみじ山通りペットクリニック】(年中無休・予約優先制)

ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

目次


水中療法について


水中療法とは水の特徴を利用して行うリハビリテーションのことで、主流の設備は“水中トレッドミル”と“プール”です。
水中トレッドミルは足元がベルトコンベアの可動式になっており、設定した速度で水中歩行(四肢歩行)や水中ダンシング運動(後肢のみでの二足歩行)を行うことができる装置です(写真1)。
また、プールの設備があれば水泳を行うこともあります。

当院ではプールの設備はありませんが、小型・中型犬であれば、水中トレッドミルに水を深く溜めることで水泳を行なうことが出来ます(写真2)。
水が持つ特徴は“浮力”、“抵抗力”、“水圧”です。
水位やベルトコンベアの速度を調整することで、その特徴を最大限に活用しながらリハビリテーションを行います。
水位を高くすると浮力が働き、動物の体重の負荷を減らすことが出来ます。陸上での運動よりも楽に運動をすることができます。
陸上で自力起立できない子でも、水の中であれば浮力が働き、起立の姿勢がとれるようになることがあります。

また、陸上で起立は出来ても歩行時にふらついてしまう子や足がもつれてしまう子も、水の中であれば水圧や水の抵抗力により上手にバランスを保ち歩行することが出来ます。
写真3:水中トレッドミルでの水中歩行を行なっている様子
写真4:水中トレッドミルでのダンシング運動(後肢2足歩行)を行なっている様子
写真5:水中トレッドミルに水を深く溜め水泳を行なっている様子



両側膝蓋骨脱臼整復術後に運動機能改善のためにリハビリテーションを実施した症例


症例は、柴犬、去勢オス、7ヶ月齢、両側の膝蓋骨脱臼整復の手術を行いました。
手術後1週間入院しましたが、手術翌日から1日2回の陸上療法を開始しました。
リハビリテーション内容は患部の疼痛管理・アイシング処置を行った上で、陸上での起立保持、両後肢への負重の訓練を主に行いました。
1週間後には、自宅でのトレーニングが可能であると判断し、飼い主様にリハビリテーションを指導し退院となりました。

しかし、術後1ヶ月検診の際に、足をあまり負重させずに歩行する(跛行)症状があまり改善しないとのことで再び院内でリハビリテーションを行うことになりました。
自宅でのリハビリテーションを継続しながら、3ヶ月間、当院にて定期的に水中トレッドミルを用いた水中療法を組み合わせ、トレーニングを行いました。
水中歩行で水の抵抗を受けながらも、しっかりと歩行し水泳では力強く犬掻きをすることで筋力アップを目指しました。
トレーニング終了時には足をあまり負重させずに歩行する(跛行)症状も改善し、歩行も正常となりました。
リハビリテーションは、整形外科疾患および神経疾患の術後、早期に実施することによって、よりよい回復を目指すことができます。
そのような手術を受ける際には、手術前に術後のリハビリテーションのこともお気軽にご相談ください。

執筆担当:動物看護師 矢ヶ崎 望