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ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

犬のキアリ様奇形(COMS)

目次


キアリ様奇形について


 犬のキアリ様奇形は後頭部の奇形により生じる、小脳を圧迫する先天性疾患です。
小脳の圧迫は、脳脊髄中の脳脊髄液の流れを悪化させ、脊髄実質内に過剰に液体が貯留する脊髄空洞症や、脳室内に過剰に液体が貯留する水頭症を引き起こします。
脊髄空洞症の症状として、頸部の引っ掻き行動(エアーギタースクラッチ)、知覚過敏、不全麻痺が挙げられ、水頭症の症状として、発作、学習能力の低下、斜頸などが挙げられます。
キアリ様奇形でこういった様々な合併症を引き起こすことを尾側後頭部奇形症候群(COMS)といい、一般的には時間が経つにつれて悪化していくことが多いです。



キアリ様奇形に対して後頭孔拡大術を行った症例〜診断〜


今回ご紹介する症例は、頸部の引っ掻き行動が認められた症例で、MRI検査によりキアリ様奇形を診断し、治療した症例です。

 症例はキャバリア、未去勢オス、6ヵ月齢、去勢手術の相談で来院されました。
来院時、耳の中はキレイで外耳炎もなさそうなのに耳を引っ掻く動作が多いと言われていました。キャバリアはキアリ様奇形が非常に多い犬種のため、去勢手術と同時にMRI検査を行うこととしました。
以下がMRI検査、CT検査の画像です。
1枚目の画像はMRI検査の画像です。
小脳は通常球形ですが、骨によって圧迫を受けています。(1枚目の画像黄色丸)
それに伴い、過剰に脳脊髄液の貯留が認められています。この撮像法では脳脊髄液は白く写ります。(1枚目の画像黄色矢印)
2枚目の画像はCT検査の画像です。
異常な骨が形成されていることがわかります。(2枚目の画像黄色丸)

本症例はキアリ様奇形に伴うCOMSと診断し、現時点での症状の緩和、将来のCOMSの悪化を予防するため、外科手術を実施することとなりました。



キアリ様奇形に対して後頭孔拡大術を行った症例〜治療〜


外科手術は後頭孔拡大術といい、異常な骨を取り除き、小脳への圧迫を解除する手術です。
細かい操作が要求されるため、手術顕微鏡が必要となります。
以下は手術中の写真になります。
苦手な方はご注意ください。


後頭骨を露出したのちに異常な骨を取り除き、後頭孔を拡大している画像です。
術後のMRI画像です。小脳への圧迫がなくなっていることがわかります。(黄色丸)

術後は頸部の引っ掻き行動はまったくなくなりました。
将来のCOMSを予防できることも期待できます。

この疾患は症状が少ないため、早期発見が困難です。
少しでも気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。


執筆担当:獣医師 陶山 雄一郎