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腹腔鏡下避妊手術について
近年、腹腔鏡が動物病院でも導入されてきています。
今回は、腹腔鏡という内視鏡を用いた「腹腔鏡手術」をご紹介します。
これはお腹の中に細長いカメラや電気メスを入れて、モニターの映像を見ながら行う新しい術式です。
動物病院での犬や猫に対する避妊手術――卵巣・子宮摘出術――では、皮膚を大きく切開する開腹手技が一般的でした。
腹腔鏡手術では1cm程度の傷が2〜3箇所のみで済みますので、一般的な開腹よりも痛みが少なく、犬や猫への負担が小さいのが特長です。また、痛みが少ないと麻酔が安定しますので、より安全な術式となります。
手術の跡が小さいと、体調の改善が早く、感染リスクの軽減も期待できます。
当院の避妊手術は開腹手技では2日間の入院が必要ですが、腹腔鏡手術では体調が良ければ当日に、ご家族のもとに帰ることが可能です。
腹腔鏡下避妊手術を行った症例
この症例では腹腔鏡を用いた避妊手術を受けて頂きましたが、開腹手技では青線の長さの皮膚を切開するところを、3つの小さい傷で済みました。
術後の回復も早く、当日に自分でしっかりと歩いて退院できました。
翌日から元気にごはんを食べることができたそうです。
避妊手術は
子宮蓄膿症や乳腺腫瘍のリスクを低減することができます。
「避妊手術は受けさせたいけれど、大きな傷はかわいそう」「家族から離れての入院が心配」といったお考えの方も多いと思います。
動物病院ではまだ普及が少ない分野ですが、負担が少なく動物にやさしい腹腔鏡下避妊手術を希望される方、ご興味がある方は、お気軽に当動物病院へお越しください。
執筆担当:
獣医師 村井晃三郎