東京都中野区で評判の動物病院【もみじ山通りペットクリニック】(年中無休・予約優先制)

ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

目次


腹腔鏡下肝生検について


腹腔鏡の大きなメリットとして、診断を目的とした手術を従来通りの手術よりも低侵襲で行えることが挙げられます。
今まで肝臓や腸の組織を一部採取し病気の診断をするときは腹部を大きく切開して採取していたのですが、腹腔鏡の場合はその必要がなくなります。



腹腔鏡下肝生検で診断した銅蓄積性肝障害の症例


今回ご紹介する症例は肝疾患を疑い腹腔鏡で肝生検を行い、銅蓄積性肝障害と診断した猫の一例です。

症例は猫、雑種、1歳、健康診断を主訴に来院されました。
健康診断で血液検査を行った結果、肝障害の度合いを示すALT(>1000 U/l)、AST(584 U/l)の高値を認めました。
再検査時にはALT(>3000 U/l)、AST(1414 U/l)とさらに上昇し、腹腔鏡下での肝生検を行いました。
以下は腹腔鏡での肝生検の様子です。苦手な方はご注意ください。
腹腔鏡ではこのようにカメラを通して肝臓の全体像を把握することができます。
実際に、この症例では見かけは綺麗な肝臓でしたが、病理組織検査では銅の沈着が比較的重度に認められているということがわかりました。
以上の診断を踏まえ、銅を制限した食事や銅を結合し排除してくれる薬やステロイドなどの投与を状況に応じて行いました。
その後は肝数値も下がり良好な経過をたどってくれました。

肝生検は原因不明の肝疾患を診断する上でとても重要な検査ですが、今までは体の負担の大きさから敬遠されていました。
しかし、腹腔鏡の普及により今までよりもはるかに負担を軽減した方法で肝生検を行えるようになっています。
今回ご紹介させていただいた症例は腹腔鏡を手術以外で活用した方法でした。
肝生検を考えられている方はぜひご相談ください。


執筆担当:獣医師 陶山雄一郎