東京都中野区で評判の動物病院【もみじ山通りペットクリニック】(年中無休・予約優先制)

ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

目次


胸腺腫について


今回は胸腺腫、重症筋無力症についてご紹介します。
胸腺腫とは胸腔内に存在する胸腺という臓器が腫瘍化したものです。
胸腺腫は巨大になることが多いため、気管や肺を圧迫することで咳や呼吸困難を生じたり、食道を圧迫することで嘔吐や吐出を症状として示すことが多いです。
胸腺腫の特徴として、腫瘍随伴症候群(合併症)が多いことが挙げられます。
腫瘍随伴症候群には重症筋無力症、巨大食道症、高Ca血症、溶血性貧血、多発性筋炎、剥奪性皮膚炎など様々なものが報告されています。
最近では、手術を行わなかった症例の生存期間中央値は2ヶ月ほどで、手術を行った症例の生存期間中央値は約2年と報告されています。
そのため、胸腺腫の治療は外科的に摘出することが第一に挙げられますが、様々な理由から手術が困難な症例も存在します。



胸腺腫に重症筋無力症が随伴した実際の症例


今回ご紹介する症例は胸腺腫に随伴して重症筋無力症を発症し、内科的にコントロールした猫ちゃんです。
症例は猫、メインクーン、15歳、食欲不振、頻回の嘔吐、起立困難を主訴に来院されました。
レントゲン検査をすると心臓の前方に白く写っているものが見つかり、胸腺腫が疑われました。
血液検査では重症筋無力症の指標である抗アセチルコリン受容体抗体という検査項目が高値であるとのことでした。
その他各種検査の結果から、この症例は胸腺腫に随伴する重症筋無力症と診断されました。
高齢ということもありこの症例は外科手術には踏み切れず、ステロイドを主体とした内科的な治療を行いました。
外科的な摘出をしていないため、完全に消失することはありませんが、4ヶ月くらいかけて胸腺腫はだいぶ小さくなりました。
胸腺腫のサイズが縮小するにつれて四肢の麻痺も改善し、食欲なども改善していきました。
最終的には約1年間治療した末亡くなってしまいましたが、内科的に長期間生活の質を保てたのではないでしょうか。
胸腺腫は外科的な摘出が第一の治療方法ですが、それが全てではありません。

内科治療に反応しない症例も存在するため、絶対に推奨できるというわけではないですが、色々な治療の選択肢があることは知っておくべきかと思います。

ご気軽に相談ください。


執筆担当:獣医師 陶山雄一郎